2026.06.17 Partners

クロマトプロセスの「仕組み化」で研究の生産性向上に貢献する

株式会社ChromaJean代表取締役  三輪勝彦氏

国内最大規模の製薬企業、創薬研究部門にて20年以上にわたって分析・精製に従事してきた三輪氏。2017年に株式会社ChromaJeanを設立し、モノづくりの「当たり前」を支えることをビジョンに掲げて邁進している。有機合成化学者にとって労苦だったクロマトプロセスを「仕組み化」することが、研究生産性の向上に直結すると語る。

いかにして時間を生み出すか

クロマトグラフィーは、混合物中の目的成分の純度評価(分析)と単離(精製)をおこなうことができる基盤技術だ。例えば創薬研究サイクルは、候補化合物の「デザイン」「合成」 「分析・精製」「薬理試験」の4つのプロセスで構成される。三輪氏は以前、大手製薬企業で分析・精製プロセスの根幹を担うクロマトグラフィー部門を率いていたが、強いストレスを抱えていた。クロマトプロセスが属人的で試行錯誤に膨大な時間を要するため、研究者個人だけでなく組織全体にとってもボトルネックとなっていることが理由だった。しかし同時に、どの企業でも手つかずのクロマトプロセス効率化を実現できれば、削減された時間を研究者一人ひとりの創造的な業務に再配分できるとも思い至っていた。この信念に基づいて、三輪氏は株式会社ChromaJeanを立ち上げた。その試みは奏功し、現在では脱属人化・省力化を実現する唯一無二の分析・精製プラットフォームを展開している。

実用性の高いクロマトプロセスを実現

彼らのプラットフォームには、2つの重要なポイントがある。「規格化」と「デジタル化」だ。最初に、分離検討範囲を規格化する。分析・精製の達成に必要な装置設定やカラム・溶媒の選択、スクリーニング分析条件などの組み合わせを、ChormaJeanのエキスパートが極端に絞り込み、クライアントに導入している。研究者が試行錯誤する負担が取り除かれ、高い成功確率と広い汎用性が担保される。次に、研究者の作業と判断を代行するオリジナルソフトウェアを提供している。分取条件作成や結果解析を自動化し、経験に依らず迅速な分析・精製を可能とする。分析・精製業務の所要日数が従来の約25%まで大幅に短縮できたケースもある。驚くべきことに、プラットフォーム使用時に研究者が入力すべき情報はサンプル名と分子量のみであるが、分析・精製の成功率は年間を通して80%以上を誇っている。

オートメーションの新大陸へ

クロマトプロセスの効率化は研究資源の再分配を可能とし、競争優位性の高い研究活動の活発化につながるだろう。新たに全自動プラットフォームを提供予定だという三輪氏。液体クロマトグラフィー装置の世界的大手Waters社の日本法人である日本ウォーターズ株式会社、ラボオートメーションを手がけるトーチ株式会社との連携が公表されている。クロマトグラフィーは、古くからある「当たり前の技術」としてこれまで軽視されてきた。その領域で仕組み化を実現した彼らが、真の意味で提供したい価値は単なる「化合物の分離」ではない。研究者がより創造的な仕事に専念できるよう十分な時間を捻出することだ。「新しく生まれた時間で、アイデア出しや仮説検証、そして将来の自分に投資することが可能になる。」彼らは日本独自の研究体制構築を通じて、世界と競争する力を提供することを使命としている。

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